Z社裁判の判決文 主文と争点の解説①

2024

06.14

5月27日の東京地裁でのZ社(原告)から当社PS社及びM社長(被告)に対する著作権侵害差止等請求事件の判決について、当社ブログ欄へも多くのお問合せをいただいております。内容を詳しく教えてほしい、判決文全文を見せてほしいなどのご依頼に当社では順次対応しております。

そこで、当社でもZ社裁判専用ブログ欄を開設しました。まずは、判決の内容を分かりやすく、公表していきたいと思います。(原文のままではありませんが、裁判に特有のことばをわかりやすい言葉に置き換えておりますのでご了承ください。)

 

まずは、判決の主文は以下のとおりでした。

 

1.PS社は、今まで買ったZ社の住宅地図について、複製したり、複製物を公衆に提供したり、ネットなどで住宅地図の中身が読める状態で送信してはいけません。

2.PS社とM社長は、連帯して3000万円(同時に令和元年11月15日から年5分の損害金を足して)を、Z社に支払いなさい。

3.上記1.2以外のZ社の請求は認めません。

4.Z社の訴訟費用(Z社が裁判開始時に納付した印紙代等)は、PS社とM社長の負担とします。

5.上記1.2の項に限り、仮執行することができます。(PS社及びM社長の銀行預金口座をZ社は差押えすることができます)

 

PS社側が裁判で主張してきた事柄は、ほぼすべて、ことごとく否定されており、全面敗訴といえる非常に恐ろしい判決でした。PS社とM社長は、知財高裁へ控訴すると同時に、仮執行されないように強制執行停止申立てを行い受理されました。

当ブログでは、1審判決の判決文を、原告、被告ということばを使わず、また複写をコピーと表記するなど、なるべく平易な言葉で争点を解説していきたいと思います。その際に判決文になるべく従順に、当社=被告の立場での新たな見解や主張を加えずに解説していきたいと思います。

 

当社の主張は、控訴審=知財高裁でひきつづき丁寧に行っていく予定です。

 

 

本裁判での争点は、以下の11点に整理されました。

 

争点1 そもそも住宅地図は、著作権法で守られるべき著作物なのか?Z社の住宅地図の場合はどうであるのか?(住宅地図の著作物性)

争点2 Z社の住宅地図の著作者はだれなのか?(著作者)

争点3 PS社とM社長は、Z社の著作権を侵害したといえるのか?(著作権侵害行為)

争点4 PS社とM社長は、著作物と分かっていてZ社の住宅地図をコピーしていたのか?故意や過失はあったのかないのか?

争点5 M社長に、Z社の住宅地図をコピーしてはダメよと社員に言うべき任務があったかどうか?(任務懈怠行為=にんむけたいこうい)

争点6 Z社は、PS社が社内コピーを繰り返していると知っていて住宅地図を売っていたのか?(許諾の有無)

争点7 許諾料を支払うことなく、住宅地図を必要な範囲で社内コピーするといった慣習があったのかなかったのか?(慣習の有無)

争点8 PS社とM社長は、住宅地図のコピー行為に対して、著作権法30条の4の内容(地図に表現された思想や感情を味わうための利用)を適用されるべきか否か?

争点9 住宅地図の利用者が零細的利用であることを理由とする著作権行使の制限があるのかないのか?住宅地図の利用上、必要な範囲での利用といえるのではないか?

争点10 今後、PS社がZ社住宅地図を所有していることにより、Z社の著作権を侵害するおそれがあるかどうか?

争点11 PS社における住宅地図の利用が、Z社に損害をどのくらい与えたのか?(損害額の確定)

 

以上の11点について、判決文では、Z社の言い分とPS社の言い分を併記したうえで、裁判所の判断を明確にしています。

次回からは、争点をひとつずつ分解して解説していきます。

 

 

※判決文全文を原文で欲しいという方は、以下へお気軽にお申し出ください。6月14日現在、裁判所のホームページでは当判決文を検索しても表示されないため、当社から公表する次第です。(事件番号 令和元年(ワ)第26336号)

申込先 Z社裁判問い合わせ窓口

0120-881-986(平日10時~17時)

 

※(注意)当ブログでは、(有)ペーパー・シャワーズをPS社、村松社長をMまたはM社長と表記します。また、原告会社は住宅地図制作・販売会社では誰もが知る東京証券取引所プライム市場の上場企業ではありますが、ここではZ社と表記いたします。

ページ上部へ戻る

お電話でのお問い合わせ