Z社裁判の判決文 解説⑥(争点11)

2022

07.27

東京地裁判決文 解説⑥

 

5月27日の東京地裁でのZ社(原告)から当社PS社及びM社長(被告)に対する著作権侵害差止等請求事件の判決について、当社ブログ欄へも多くのお問合せをいただいております。内容を詳しく教えてほしい、判決文全文を見せてほしいなどのご依頼に当社では順次対応しております。

Z社裁判専用ブログ欄では、判決の内容を分かりやすく、公表していきたいと思います。(原文のままではありませんが、裁判に特有のことばをわかりやすい言葉に置き換えておりますのでご了承ください。)

 

今回は、さいごの争点11に対して公表していきます。

【争点11】

 

争点11 PS社における住宅地図の利用が、Z社に損害をどのくらい与えたのか?(損害額の確定)

 

■Z社の主張■

 

Z社では、Z社住宅地図を自動車保管場所証明申請や建築確認申請に添付するためにコピーを許諾する複製許諾証を、1枚200円で販売している。また、「Z社住宅地図出力サービス」においては1枚当たり550円、複製許諾付きのものは770円、「Z社住宅地図プリントサービス」においては1枚当たり400円で、それぞれコピーを許諾している。

PS社が設立する前のMは、5万3802枚、PS社設立後は、283万6022枚をそれぞれコピーしているので、それぞれに許諾最低料金の200円をかけた額が損害額である。

それに弁護士費用相当額を足すと、以下のようになる。これがZ社の主張する損害額である。

 著作権侵害額

  M       53,802枚✕200円 =  10,760,400円

  PS社  2,836,022枚✕200円 = 567,204,400円   

 弁護士費用相当額                66,478,440円    

         合計           6億4444万3240円

 

■PS社の主張■

 

公益社団法人日本複製権センターでは、組織内での利用を目的としてコピーに係る使用料を1ページ当たり4円と定めている。また、一般社団法人学術著作権協会が定める、内部利用目的の基本複製使用料は、1ページあたり2円である。

さらに、Z社を含む日本の主要住宅地図業者6社のうち3社は、PS社の利用方法なら追加の許諾料の支払いを求めていない。

したがって、Z社に生じる損害額は、1枚当たり0~4円の間とするべきである。

Z社の主張では、1枚当たり200円を下回らないと主張するが、本件訴訟が提起される前に上記金額が公開された事実は認められないし、ポスティング業界に対して利用料金が示されたことはない。

したがって、Z社の損害額算定には誤りがある。

 

■裁判所の判断■                           

 

本件訴訟に現れたすべての事情を考慮すると、Z社の著作権の行使につき受けるべき金銭の額は、見開きの片側1ページ複写あたり200円と認めるのが相当である。

Z社は、2002年(平成14年)10月21日から、1枚200円で複製許諾証の販売を開始していることが認められるから、複製許諾証の価格は公開されており、ポスティング業界を含め、一般的にこれを知り得たというべきである。

PS社は、自らの事業であるポスティング業務を行うために、Z社住宅地図を複製し、ポスティング用地図を作成したもので、それはZ社が想定する複製許諾証の利用目的には該当しないとしても、Z社の損害額(著作権使用料)に相当する額の算定に当たって、考慮すべき一事情となる。

その他、PS社のいずれの主張も採用することはできない。

2002年(平成14年)の本件改訂時期後の住宅地図に対してZ社が著作権行使をできる枚数については、争点3において示した96万9801枚である。

また、弁護士費用相当額についても以下のように認めるのが相当である。

 

 

著作権損害額     989,801枚✕200円= 193,960,200円

弁護士費用相当額                  19,000,000円     

                         212,960,200円

したがって、Z社に生じた損害額の合計は、2億1296万0200円である。

 

 

 

争点1~争点11の結論

 

Z社の請求は、PS社が差止等対象地図をコピーし、同地図の複製物を譲渡により公衆に提供し、自動公衆送信又は送信可能化してはならない。PS社とM社長は、連帯して3000万円及びこれに対する令和元年11月15日から支払済みまで年5分の割合の金員の支払いを求める限度で理由があるから容認し、それ以外は理由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

 


※現在、裁判所のホームページにて、判決文全文を確認することができるようになりました。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=91250

今回で、東京地裁の判決文の解説は終了します。7月末時点では、知財高裁での控訴審に移行しておりますが、ひきつづき、裁判の状況は、こちらのブログで報告させてもらいます。(当社で公表できる内容のみですが)

この間、多くの会社、個人の方々からお問合せをいただきました。ひとつひとつに丁寧に対応させていただいております。励ましのお言葉もいただき、本当にありがとうございます。

当社では引き続き、Z社裁判への問い合わせ窓口を設けておりますので、お気軽にお問合せください。

0120-881-986(平日10時~17時)

 

※(注意)当ブログでは、(有)ペーパー・シャワーズをPS社、村松社長をMまたはM社長と表記します。また、原告会社は住宅地図制作・販売会社では誰もが知る東京証券取引所プライム市場の上場企業ではありますが、ここではZ社と表記いたします。


 

 

 

 

 

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