コロナ禍が過ぎて、秋の収穫祭が各地で開催されています。私も10月は、週末を利用して、南信州・飯田のJR飯田線天竜峡駅周辺で開催された「天龍峡マルシェ」と、東信地方のしなの鉄道線大屋駅周辺で開催された「大屋角打ち」というイベントに参加してきました。
秘境駅があることで有名になったJR飯田線天竜峡駅周辺で行われた「天龍峡マルシェ」は、100を超える出店者を誇る大規模なものでした。翌日の新聞では、来場者1万人以上ということでした。私は知人が手作りの猫の置物を出店しているということで、出かけてきました。クラフトフェアのような手作り工芸品や、手作りのお菓子などを売るお店をみて廻るだけでも楽しいイベントでした。帰りに五平餅をたくさん買ってきました。
そして、我が家では炭をおこして、温めなおして食しました。ついでに、秋の高級魚となったサンマも焼いて食べました。仙台の知人がクール宅急便で送ってくれたもので、新鮮でした。こんな秋の一日の過ごし方ができる平和を実感しました。
次に、しなの鉄道線大屋駅周辺で開催された「大屋角打ち」というイベントへ参加してきました。角打ちというのは、もともとは酒屋さんに併設された一杯立ち呑みスタイルのことのようです。近くの千曲川ワインバレーのワイン生産者と組んで、ワイン交差点というコンセプトでした。
となりのまかせて上田の店舗も大屋角打ちバージョンの宣伝に協力しました。
ワイン醸造用の樽を使ったテーブルで、一人でワイングラスを傾けていると、隣に私より一回り年上らしい品の良いオジサンがうまそうに飲んでいましたので、声をかけてみました。それは、私の知らない世界への旅の始まりでした。
オジサンが話してくれました。
「私は熊本から上京して、東京で働いていたが、2年前に上田市のとなりの町に中古住宅を見つけて引っ越してきた。ワインが好きで、フランスやイギリスのワイン生産地へも行ったことがある。東京では、赤坂のエル✕✕✕✕というナイトクラブで働いていた。そこで、様々な有名人を間近でみてきた。
アメリカからサミー・デイビィス・ジュニアが来日してお店でパーティを開いた。一流ミュージシャンの演出はスゴかった。また、美空ひばりの弟のかとう哲也も良く来た。当時1本2万円したドン・ペリをよく開けてくれた。山口組の暴力団とのつながりで逮捕されたりしたが、山口組の上層部の人間は、紳士的で立ち居振る舞いが違った。かたぎの人には、一切手を出すことはしなかった。
あぁ、お店の名前は、映画「追憶」にでてくるお店の名前と一緒だよ。バーバラ・ストライザントと、ロバート・レッドフォードが最初に出会うナイトクラブだよ。知ってる?
ちなみにエル✕✕✕✕と同じような有名なお店が赤坂にもう1軒あって、そこで後のデビィ夫人がホステスとして働いていて、インドネシアのスカルノ大統領に目染められて第三夫人になったんだよ。」
話しは、私の知らない世界へどんどん入り込んでいきました。その後、1時間近く話し込んでしまいました。私とこのオジサンの共通項は、お互いの妻の出身県が同じということも発見しました。
その後、大屋駅で2人のオジサンは軽井沢方面、上田方面と別々の電車に乗って別れました。お互いの連絡先も交換しないままに。まさに、大屋角打ちを地でいった一日でした。